歩行音、歩行感、転倒時の安全に配慮した木質フローリング床の研究

     一般的な木質フローリングの床では、転倒衝突時の安全性やかたさなどの居住性に関する性能が十分ではないことがこれまでの検討によって明らかになっている。よって、木質フローリングを前提としながら下地を工夫する事で居住性をバランスよく向上させた床を開発し、主に保育園や高齢者施設で利用される事を想定している。

    掲載情報の概要

    ウッドデザイン賞2017 受賞
    技術・研究分野 ライフスタイルデザイン部門
    木材利用の機能や快適性を高める調査・研究

    研究の背景と目的

     一般論として、かたい床では人の転倒時の安全性や立作業などの疲労感が危惧される。一方柔らかい床は物を置いた際の沈み込みや足元に不安定感がある。
     本研究では、高齢者施設や保育園などでの利用を想定し、歩行音、歩行感、転倒時の安全性をバランスよく確保する「床構成」の提案を目的としている。

    官能検査による適度にやわらかい床のニーズ調査

    官能検査の概要

     床の変位量と変形範囲を任意に変え、やわらかさに差をつけた12種類の試料床(1試料床当たり2,227mm×1,820mm)を用意し、被験者が床ごとに歩行感を評価する官能検査を実施した。

    官能検査の結果

     成人男女22名を対象に官能検査を実施した結果、試料床5の評価が最も高い結果になった。
     試料床5の床は、変位量が小さく、変形範囲が大きい床であり、「若干やわらかい床」の歩行感が好まれる事が明らかになった。

    適度にやわらかい床仕様の提案

    床仕様の特徴

     床構成は、最下にクッション層を設けて適度なやわらかさを有した下地に、木質空間に必要不可欠な木質フローリング仕上げとしている。下地には、木質フローリングがきちんと固定できる構造用合板(国産材)とし、この合板を2枚重ねすることで、最下のクッション層よりも上面の剛性を確保し、居住性だけでなく日常生活で支障のない床を実現している。

    ポイント

    ① 木質フローリングは好みのものを選べる。
      新規性 遮音床材や転倒時の安全性に配慮した専用床材でなくても好みの床材で居住性を確保できる。
    ② フローリングの下地には、フローリングをきちんと固定できる合板(国産材)を使用。
      有用性 国産材を活用できる。
    ③ 合板2枚重ねで、最下のクッション層よりも上面の剛性を確保し、居住性だけでなく日常生活で支障のない床を実現している。
      機能性 下地の工夫で歩行音(遮音)、歩行感、転倒時の安全性に配慮ができる

    性能値の測定結果

    ① 歩行音(床衝撃音性能) → 軽量音9.8dB改善、歩行音3.9dB改善

    ② 歩行感(適度なかたさ) → 目標達成

    ③ 転倒時の安全 → 目標達成

    掲載情報の詳細

    論文元/参考文献1
    ウッドデザイン賞2017 受賞作品 https://www.wooddesign.jp/2017/work.html
    JWDA記事編集者
    根本孝明
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    の方法(連絡先)
    住友林業株式会社/お問い合わせ
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