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持続的な木材利用を支えるエリートツリー(2022年受賞)

    長年にわたる調査、評価と交配で創り出した優れた『エリートツリー』 ―林業種苗の新しい選択肢―

    掲載情報の概要

    エリートツリーは、60年以上にわたる遺伝的な改良の取組(林木育種事業)の成果として創り出された、成長等に優れた樹木です。成長に優れるため、植栽後の下刈り回数を減らすことが可能になり、育林に係る経費や労力を低減させ、林業経営の改善、さらには、二酸化炭素の吸収・固定が旺盛であるため、カーボンニュートラルにも貢献することが期待されています。その開発は、全国の森林から成長・形質の優れた樹木を選抜するところからスタートし、選抜された樹木で試験地を造り、植栽後20~30年にわたり定期的に調査・解析を行うことにより、優れたものを特定しました。さらにそれら同士を交配することで、苗木を作り育て、再度調査を行うことにより選びだすという長い年月が費やされました。エリートツリーになるには、成長の良さに加え、材の強度として重要な指標であるヤング率、花粉症に関係する雄花(花粉)の着きやすさが評価され、優れたものだけが選ばれています。これからの林業、そして持続的な木材利用を進めるためにも、新たな選択肢として、その活用が望まれます。

    【受賞作品名称】持続的な木材利用を支えるエリートツリー
    【受賞者】国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所 林木育種センター
    【表彰部門】ソーシャルデザイン部門
    【対象部門】調査・研究分野
    【サブカテゴリ―】調査・研究/その他の調査・研究

    作品概要

     エリートツリーは、60年以上にわたる遺伝的な改良の取組(林木育種事業)の成果として創り出された、成長等に優れた樹木です。

     成長に優れるため、植栽後の下刈り回数を減らすことが可能になり、育林に係る経費や労力を低減させ、林業経営の改善、さらには、二酸化炭素の吸収・固定が旺盛であるため、カーボンニュートラルにも貢献することが期待されています。

     その開発は、全国の森林から成長・形質の優れた樹木を選抜するところからスタートし、選抜された樹木で試験地を造り、植栽後20~30年にわたり定期的に調査・解析を行うことにより、優れたものを特定しました。さらにそれら同士を交配することで、苗木を作り育て、再度調査を行うことにより選びだすという長い年月が費やされました。

     エリートツリーになるには、成長の良さに加え、材の強度として重要な指標であるヤング率、花粉症に関係する雄花(花粉)の着きやすさが評価され、優れたものだけが選ばれています。これからの林業、そして持続的な木材利用を進めるためにも、新たな選択肢として、その活用が望まれます。


    スギのエリートツリーが植えられた採種園(茨城県)

     我が国には広大な山地があり、そこに植栽するエリートツリーの苗木を準備するためには、元となる種子が必要になります。種子を事業的に大量に生産するために整備するのが採種園で。この整備は都道府県等が担っています。現在、エリートツリーが植栽された採種園の造成が進みつつあり、そこからの苗木生産も始まっています。 


    スギのエリートツリーの優れた初期成長

     エリートツリーの優れた成長性を把握するために、エリートツリー(第2世代精英樹)と一緒に遺伝的に未改良の従来種と、エリートツリーの親にあたる第1世代精英樹を一緒に植栽しました。写真は植栽後、3成長期後の様子です。この段階でエリートツリーは下刈りが不要な樹高3m以上に育っています。

    掲載情報の詳細

    論文元/参考文献1
    森林総合研究所林木育種センターホームページ「エリートツリーの開発」 https://www.ffpri.affrc.go.jp/ftbc/business/sinhijnnsyu/seicyou.html
    JWDA公開日
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