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木材を内装や外装に使ったときに、人の印象に与える影響

    「あたたかなイメージ」など良好な印象を与えることが、明らかになってきました。

    掲載情報の概要

    戸建住宅の工法や外装によって、居住者の成熟度・対人関係・自信に関わる印象が変わります。
    建築物の内外装に使われた木材の視覚的効果によって、「あたたかなイメージ」など良好な印象を与えることが明らかにされています。

    内装に木材を使うと「快適」など好印象を与える、という報告があります。

    内装に木材を使用することにより「あたたかい」、「明るい」、「快適」などの良好な印象を与えるという研究結果が、次の視覚的効果を評価した実験により得られています。
    木質化した事務所と木質化していない事務所の内装写真20 枚(右)を、説明なしに被験者
    (大学生)に見せ、その写真を似ていると感じたもの毎にグループ分けさせた後、その理由や印象の聞き取りをしました。
    聞き取りした内容をテキストマイニングおよび多次元尺度構成法(右ページ 「参考」参照)によって分析・解析 した結果が右ぺージの図になります。

    右の図では、各写真や単語の位置が相互の関係性を表しています。関係性が強いほど相互の距離が小さく、逆に関係性が弱いほど離れて表現されます。つまり、木質( No.2、7、10、11、12、14、15、17)と非木質の内装写真では、印象が分か れていることが、ひと目で分か ります。また、木質内装写真は 「木材」という単語の近くに位置付けら れるととちに、その周辺に  「あたたかい」、「友好的」、「明るい」、「快適」、「静か」など良好な印象につながる単語が位置づけられました。これは、事務所の内装で木材の視覚的影響力が好ましい印象をもたらすことを示唆しています。

     

    聞き取り調査で得ちれたデータの分析手法――テキストマイニング

    今回の調査で採用したテキストマイニングは、聞き取り調査で得られた自由回答の大量のテキストデータの分析手法の一つです。

    テキストデータを単語や文節で区切り、それらの出現の頻度 や傾向をコンビュータを用いて解析することで、有用な情報を取り出す手法です。

    ここでは、社会調査で広く使われているテキストマイニング用のフリーソフトウェア「KH Coder」を用いて解析しました。

    単語間の関係を表現する――多次元尺度構成法

    多次元尺度構成法では、単語間の類似度と距離とが単調関係となるように、単語を点として 多次元空間に位置付けます。

    それによって、単語間の関係を表現しています。

    つまり、関係性の強い単語同士の距離が小さくなると同時に、関係性の弱い単語同士は、距離が大きくなるように表現されるのです。

    掲載情報の詳細

    論文元/参考文献1
    林野庁 科学的データによる木材・木造建築物のQ&A (Q4, P11-12) https://www.rinya.maff.go.jp/j/mokusan/attach/pdf/handbook-24.pdf
    論文元/参考文献2
    "Homeowner identity symbolism in Japanese housing constructions.",Ridoutt, B. G.,Sueyoshi, S., Ball, R. D., Miyazaki, Y., Morikawa, T, Forest Products Journal, 55, 31-37 (2005). https://www.webofscience.com/wos/woscc/full-record/WOS:000228422000009
    論文元/参考文献3
    "Wood in the interior office environment: Effects on interpersonal perception.(オフィス室内環境における木材 人間との関係の認識)", Ridoutt, B. G., Ball, R. D., Killerby, S. K., Forest Products Journal, 52, 23-30 (2002). https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200902140773157403
    論文元/参考文献4
    "First impressions of organizations and the qualities connoted by wood in interior design.", Ridoutt, B. G., Ball, R. D., Killerby, S. K., Forest Products Journal, 52, 30-36 (2002). https://www.proquest.com/openview/c5a8c4f0f57b71ea4f6c391e503a2e76/1?pq-origsite=gscholar&cbl=25222
    JWDA公開日
    2017年3月30日