人がいる居住空間内で、木材は湿度を調節してくれます
内装に木材を用いることで空間内の湿度をある程度一定に保った過ごしやすい環境づくりが可能となります。
室内の壁、床、天井に無垢材など木材を内容に用いると、木材の吸放湿作用が室内空間の湿度をある程度一定に保ちます。それによって、過ごしやすい環境づくりが可能になります。
また、湿度を保つことでハウスダストの原因となるダニや最近の存在がしにくい環境にもなります。
実証実験では
人が寝ている室内での木材の吸放湿作用により湿度の上昇が抑えられます。
内装に木の木材を用いた部屋と、木目調のビニールクロスを用いた部屋で睡眠時における室内の湿度を測定すると、季節に関わらず、無垢材の部屋の方が、ビニルクロスを貼りつけた部屋より湿度が低くなります(右図)。
通常、寝ている状態では人の呼気や発汗等により時間と共に湿度が上昇しますが、無垢材が吸湿作用を発揮し、その上昇を抑制したと考えられます。
ビニルクロスを貼り付けた内装では、水分をあまり吸収しない素材が表面に露出しているため、容易に湿度が上昇してしまいます。
木材の吸放湿作用
木材の吸放湿作用とは
木は切られてしまえばすべての生命活動は停止しますが、周囲の温度や湿度の変化に合わせて空気中の水分を放湿したり吸収したりするため、俗に”呼吸している”と表現されることがあります。切られて木材に加工されても、この吸放湿作用は続きます。
実験により、外気の湿度変化と比較して、木材内装の部屋であまり湿度が変化していないのが分かっています。
これは”木材の吸放湿作用”が働いているからで、木材は室内が乾燥している状態では木の中に含まれている水分を放出して、湿度を上げようとします。反対に、湿気が多い状態では余分な湿気を吸収しようとするのです。
また、木材は大気に比べて湿気を蓄える能力が著しく大きい特質があります。そのため、木材中からの水分の出入りだけで、室内の湿度を十分にコントロールして安定した状態に保つことができるのです。
木材の含水率と吸放湿作用の関係
木材の含水率は、含まれる水の重さを乾燥しきった木材の重さで割った数値で表します。
木材を大気中に放置すると、含水率は11~17%まで下がり安定した値を示し、安定している状態(平衡含水率といいます)になって、木材は初めて吸放湿作用を発揮します。未乾燥材では吸放湿作用は期待できないということです。
掲載情報の詳細
- 論文元/参考文献1
- 林野庁「科学的データによる木材・木造建築物のQ&A」(Q11, P24-P25) https://www.rinya.maff.go.jp/j/mokusan/attach/pdf/handbook-24.pdf
- JWDA記事編集者
- 入山 朋之
- JWDA公開日
- 2017年3月30日
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