木材の利用、木造建築は地球にやさしいと考えられます
森林資源の豊かなわが国においては、木材の利用や木造建築物の建設を一層推進することにより、二酸化炭素排出量の削減など、地球環境にやさしい社会の形成に貢献できると考えられています。
木造建築は他の構造より、建設・製造時の CO₂排出量を抑えることが出来ます。また、木材は温室効果ガスである二酸化炭素を吸収、貯蔵する性質を有します。
木材を建物に利用することで木材中のCO2を長期間にわたって固定できます。
木造建築は他の構造より、建設・製造時の CO₂排出量が少なくて済みます。
建設工事に係る CO₂排出量については、住宅を例にみると、木造が鉄骨造(S造)や鉄筋コンクリート造(RC造)の 6割程度となっています。(右図)。
また、建設・製造時の CO₂排出量においては、建築資材の輸送距離も重要です。たとえば、国産の原木を使用すると、海外輸出(ロシア)の原木を使用した場合の 35%程度に抑えられることが分かります(下図)。
木材の利用により、炭素を固定することができます。
伐採した木を木材として利用すれば、炭素を固定しておくことができます。(右図)
図は、植林して 50年後の 1haのスギ造林地の幹材に固定されている炭素量が約 140tであり、それを伐採、製材して住宅などの部材として使用したとしても、その 57%程度の約 80tは固定されたままで排出されないことを示しています。
木材利用と樹木の計画的伐採が、森林管理と CO₂削減の面から必要です。
樹木が吸収する CO₂は、樹齢とともに増加するものの、ある樹齢で最大値をとり、その後は減少していきます(右図)。
図では、樹木が吸収できる CO₂は、7 ~ 9 齢級で最大値をとり、その後は減少していくことが分かります。こうしたことから、樹木は計画的に伐採して、木材として利用していくことが、森林管理に加えて CO₂削減の効果の面からも必要となります。
木材は持続可能な資源であるといえます。
鉄や石油などの埋蔵資源が掘り出して使用してしまえばなくなってしまう有限なものであるのに対し、木質資源(木材、材木)は伐採して使用しても、その後に新しい苗木を植えておけば、30 ~ 50 年で再び材料やエネルギー源などの資源として使えるように成長してくれます。
林野庁の資料によれば、平成 19 年~ 25 年にかけて樹木の蓄積に関する増加量の平均値は、国内で年間 5,000 万m³(丸太換算)以上であり、国内での国産材受給量 2,500 万m³を上回っています。
掲載情報の詳細
- 論文元/参考文献1
- 林野庁「科学的データによる木材・木造建築物のQ&A」(Q15, P34-P35) https://www.rinya.maff.go.jp/j/mokusan/attach/pdf/handbook-24.pdf
- 論文元/参考文献2
- 「木材製品の製造プロセスにおける CO₂ 排出量の評価 -京都府産スギ合板の地産地消による CO₂ 削減効果の検証」渕上佑樹 , 神代圭輔 , 古田裕三 , 日本建築学会環境系論文集 , 75(655), 861-867 (2010) https://www.jstage.jst.go.jp/article/aije/75/655/75_655_861/_article/-char/ja/
- 論文元/参考文献3
- 「環境保全と木材による暮らし」大熊幹章, 森林科学 , 33, 63-66 (2001) https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsk/33/0/33_KJ00001916556/_article/-char/ja/
- 論文元/参考文献4
- 「CO₂ 収支を考慮した建築用木材供給とその CO₂ 削減効果に関する研究」藍原由紀子 , 浅野良晴: , 日本建築学会学術講演梗概集(D-1 環境工学Ⅰ), 2006, 943-944 (2006) https://cir.nii.ac.jp/crid/1571980077161636736
- JWDA記事編集者
- 八尾茉鈴
- JWDA公開日
- 2017年3月30日
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