#19

木材を塗装すると人目を引き付ける度合いに変化がみられます

    木目模様のコントラストの大小が塗装によって変われば、人目を引き付ける度合い「透目性」も変化します。

    掲載情報の概要

    木製品への塗装の有無や塗装の種類により、木目模様の見え方やコントラストがかなり変わります。
    コントラストが変わると誘目性も変化するので、塗装によって木材の誘目性をコントロールすることができるといえます。

    概要

     木目模様のコントラストの大小が塗装によって変われば、人目を引き付ける度合い「誘目性」も変化します。木製品への塗装の有無や塗装の種類により、木目模様の見え方やコントラストがかなり変わります。
     コントラストが変わると誘目性も変化するので、塗装によって木材の誘目性をコントロールすることができるといえます。

    ローズウッド
    木材に透明塗装を施すと、全体的に暗くなるが木目模様がくつきりする

    塗装で木目模様がくつきりするのはコントラストが強調されるからです。

     木材に透明塗装を施すと、多くの場合、材面は暗くなりますが、木目模様はくつきりします。
     これは、塗装により全体的に明度は下がりますが明暗の差が開くことと、彩度が上がって材色が濃くなるとともに濃淡の差が開くことで、木目模様のコントラストが大きくなって生じた現象といえます。

    塗装により木材の誘目性が変化することが分かつています。

     塗装によって木目模様のコントラストが変わると、木材の誘目性が変化することが分かっています。
    色々な塗装法でコントラストを変えた木材を用意し、それを見る人の視線がどこにどのくらい集中するのかを検証しました。
     その結果を表しているのが右の透かしモザイク図で、視線が集中した部分ほど透明度が高く下地の木目模様が見えやすく表されています。
     中央部の山形模様に視線が集中する傾向はA、B共通していますが、コントラストの大きいBでは周辺部にも多くの視線が集中しています。
     このことは、塗装によって木材の誘目性が変化することを表しています。

    塗装の異なるスギ材(上)と透かしモザイク図(下)
    出典/米山菜乃花ほか:木材学会誌, 62,293-300
    (2016)

    掲載情報の詳細

    論文元/参考文献1
    林野庁 科学的データによる木材・木造建築物のQ&A https://www.rinya.maff.go.jp/j/mokusan/attach/pdf/handbook-24.pdf
    論文元/参考文献2
    「イメージング分光法による材色分布の特徴抽出」田代智子, 仲村匡司, 材料, 2013 年 62 巻 4 号 p. 248-253 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsms/62/4/62_248/_pdf
    論文元/参考文献3
    「様々なコントラストを有する木質フロアパターンの視覚効果」今西 真佑奈, 仲村 匡司, 木材学会誌、2019 年 65 巻 3 号 p. 138-147 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jwrs/65/3/65_138/_article/-char/ja/
    JWDA記事編集者
    編集・発行 木構造振興株式会社
    JWDA公開日
    2017年3月30日