#22

木造建築は、他の構造と同等の火災安全性が確保出来るようになっています

    木造で耐火構造とする部材が開発・実用化され、鉄骨造や鉄筋コンクリート造と同等の火災安全性が確保出来るようになっています。また、ゆっくり燃える木の特性を生かした木造の準耐火構造技術の開発・普及が、木造建築の実現拡大に寄与しています。

    掲載情報の概要

    木造の耐火構造は、被覆型、鉄骨内蔵型、燃え止まり型の3手法が実用化されています。現在、すべての主要構造部について1時間耐火構造の部材が開発されていますので、最上階から数えて4層までを木造で作る事が出来ます。さらに、最近では被覆型による2時間耐火構造部材が開発され、大臣認定取得されています。

    4階建て以上を可能にする木造耐火構造の技術が開発・実用化されています

    木造の耐火構造は、被覆型、鉄骨内蔵型、燃え止まり型の3手法が実用化されています(表)。現在、すべての主要構造部について1時間耐火構造の部材が開発されていますので、最上階から数えて4層までを木造で作る事が出来ます(注)。さらに、最近では被覆型による2時間耐火構造部材が開発され、大臣認定取得されています。これを使えば、耐火性能上は14階建ての木造建築物が実現できます。

    注/1時間耐火構造の木造部材を用い、下層階を2時間耐火構造の鉄筋コンクリート造などでつくれば、4階建て超の建物も可能になります。

    出典/安井昇:”木の燃焼.と防耐火”建築士2017年2月号、(公社)日本建築士会連合会、P38(2017)

    3階建て以下に適用できる木造準耐火構造の技術開発・普及が進んでいます

    木造は熱伝導率が低く、燃えると表面に空洞を持った炭化層を形成します。炭化層は断熱性が高く、熱の侵入を抑制します。この性質を生かし、木材の表面から一定深さの燃えしろを設けて残りの断面積で構造計算を行い、火災継続中にその構造が倒壊しないようにするのが「燃えしろ設計」です。それにより評価された木造の準耐火構造などが告示に示されています。木造には、要求される防耐火性能に効率よく対応出来る設計法が用意されていると言えます。                                           

    建築火災の過程と対応方法の考え方

    建築火災では、出火源→収納可燃物→内装→構造躯体の順に燃えて、火災初期→火災成長期→火災最盛期という3つの過程を経ます。各過程における対策・対応は表のようになります。このうち火災最盛期では、部屋全体が800℃を超える激しい燃焼となり、構造躯体が燃えれば壁や床の燃え抜けや柱や梁の崩壊に繋がります。木造でも構造方法を工夫して鉄筋コンクリート造などに近い火災性状とすれば、防耐火性能を高める事が可能となります。

    建築基準法の防火規制(内装制限と構造制限)

    内装制限:内装仕上げ材の不燃性能を制限しています。火災の燃焼拡大を抑制する為には、燃焼経路となりやすい壁・天井の不燃化が必要です。建物の用途・室や防耐火構造・規模に応じて、制限の箇所と仕上げ材の種類(難燃材料、準不燃材料、不燃材料)が定められています。                     構造制限:構造躯体の延焼防止性能とそれによる構造性能の低下を制限しています。準耐火建築物・耐火建築物は、一定時間火災にさらされてもその時間内に建物が崩壊せずに立ち続けられる構造です。ただし準耐火建築物では、所定時間以後の防耐火性能を求めれれていませんが、耐火建築物では原則として構造躯体は燃えない事とされており、地震火災等で消防活動が期待できない場合でも、それ以後崩壊に至らず立ち続ける事が求められています。 

    建築基準法の防火規制(内装制限と構造制限)

    建築基準法では、建築地の防火地域規制により、建築物の主要構造部の防耐火性能を規定しています(図)。

    掲載情報の詳細

    論文元/参考文献1
    林野庁 科学的データによる木材・木造建築物のQ&A (Q16, P36-37) https://www.rinya.maff.go.jp/j/mokusan/attach/pdf/handbook-24.pdf
    論文元/参考文献2
    「防火の考え方と防火の性能評価」山田誠, 木材保存,29,189-196(2003) https://www.jstage.jst.go.jp/article/aijs/65/527/65_KJ00004087706/_article/-char/ja/
    JWDA公開日
    2017年3月30日

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