木材の調達から製材・加工まで地域内で行うことの経済波及効果が指摘されています

社会貢献する効果 地域経済に対する波及効果
京都府産材使用による京都府内への経済波及効果を産業連関分析により求めた調査があります。丸太の生産と製材・加工を京都府内、もしくは府外で設定した複数のシナリオで、京都生産誘発額と粗付加価値発生額及び雇用者誘発数のそれぞれを算出したところ、製材・加工を府内でおこなうと、生産誘発額や雇用誘発数はそれほど下がりませんでした。
京都府に実在する実習棟(延べ床面積136㎡、木材利用約32㎥)について、木材の購入費用8132千円を最終需要額として、京都府産材使用による京都府内への経済波及効果を産業連関分析により求めた調査があります。丸太の生産と製材・加工を京都府内、もしくは府外で設定した複数のシナリオで、京都生産誘発額※と粗付加価値発生額※※及び雇用者誘発数※※※のそれぞれを算出したところ、地産地加工のAが最大で、府外生産・府外加工のGが最小となるなか、丸太の生産を府外としたCであっても、製材・加工を府内でおこなうと、生産誘発額や雇用誘発数はそれほど下がりませんでした。一方、丸太を府内で調達し、製材・加工を府外に出すE は、地域経済への波及効果が大幅に下がるという結果になっています。

【図】各シナリオの生産誘発額、粗付加価値誘発額、雇用誘発数
※生産誘発額:ある産業部門の地域内の生産額が、どの最終需要項目によってどれだけ誘発されたものであるかをみたもの。この調査では、最終需要により生じる最初の生産増加額を直接効果、直接効果に伴う原材料等の購入によって誘発される生産額を第1 次波及効果、直接効果と第1次間接波及効果を通じて発生した雇用所得のうち、民間消費支出の増加によって誘発された生産額を第2 次間接波及効果として合計しています。
※※粗付加価値誘発額:直接の需要増加額から原材料費等を除いたもので、雇用者所得や営業余剰等が含まれます。
※※※雇用者誘発係数:新規の需要発生によって生産が誘発された場合に、それを賄うために必要となる労働量を就業者数で表わしたもの。
【効果が期待される建物・空間例】
研究施設、宿泊施設、学校、展示施設、工場



左/田辺市立新庄小学校 右2枚/広川町立下広川小学校校舎
Users VOICE/木造の小学校の例
地域資源である木材を使用し、 地産地消を積極的に行った事例が報告されています。
掲載情報の詳細
- 論文元/参考文献1
- 建物の内装木質化のすすめ-科学的データが示す内装木質化の効果- 2024年3月発行 公益財団法人 日本住宅・木材技術センター https://www.howtec.or.jp/files/libs/5636/202409201927031749.pdf
- 論文元/参考文献2
- 出典/渕上 佑樹、 久山 貴暉、 古俣 寛隆、 神代 圭輔、 古田 裕 三:地域材の流通シナリオが対象地域への経済波及効果に及ぼす影響、木材学会誌、65(4)、226-234、 2019 https://doi.org/10.2488/jwrs.65.226
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